ミリです。読者からいちばん多い質問のひとつは、実は本人からではなく親から来る。「うちの子、モデルになれますか」。答えはいつも同じだ――なれるかどうかの前に、親が確認することが5つある。今日はそれを全部書く。
ジュニアモデルの世界には、ちゃんとした入口と、親の財布だけを見ている入口がある。見分けるのは子どもには無理だ。だからそれは、親の仕事になる。
お金の流れを最初に理解する
まともな事務所のビジネスは「仕事を取ってきて、ギャラから手数料をもらう」。この向きがすべてだ。逆向き――所属の条件としてレッスン料・登録料・高額な宣材撮影費を親に払わせる――が出てきたら、そこは事務所ではなく、月謝を集めるスクールだと思っていい。

タレント・モデル契約のトラブルは、国民生活センターが特集を組むほど相談が集まっている分野だ。典型例は「無料オーディション合格→高額レッスン契約」。合格は餌で、売りたい商品はレッスンのほうにある。
面談で親がする5つの質問
- 「費用の全項目を書面でください」――入会金・月謝・宣材・登録料。口頭の説明だけなら、帰っていい
- 「所属の条件に有料レッスンはありますか」――「必須ではないが、実質みんな受けている」は必須と同じ意味だ
- 「直近の実績を教えてください」――「大手と多数取引」ではなく、具体的な媒体名・案件名
- 「契約書は持ち帰れますか」――その場でのサインを求める相手と、まともな契約はできない
- 「現場への保護者同伴のルールは?」――同伴を嫌がる事務所は、理由を聞くまでもなく除外でいい
5つ聞いて、ひとつでも渋られたら見送り。まともな事務所は、この程度の質問を面倒がらない。
現場で「当たり前」であるべきこと

- 保護者の同伴と見学。少なくとも中学生までは、交渉の余地がない当然の権利
- 学業優先。テスト期間の欠席で嫌味を言われない
- 休憩と食事が「子ども基準」で確保される
- 更衣とヘアメイクの場所が適切に区切られている
- 撮影内容が事前に共有され、当日に「聞いていない衣装」が出てこない
ひとつでも欠けたら、次の現場は受けなくていい。「仕事より子どもが先」はきれいごとではなく、この業界で長く続けるための実務だ。
法律の話を少しだけ
15歳未満(正確には15歳になった年度末まで)の子どもを働かせることは、労働基準法で原則禁止されている。例外として、映画や演劇などの事業では、健康に有害でない軽い仕事に限り、労働基準監督署長の許可を取れば13歳未満でも就労できる。
つまり、子どもの撮影現場には本来、行政の許可という手続きが存在する。学校長の証明、保護者の同意、監督署への申請。面倒に聞こえるだろうが、この面倒をきちんとやる相手だけが、子どもを商品ではなく人として扱っている。「許可?何それ」という反応が返ってきたら、その相手は法律の側にいない。
よくある質問
応募した覚えがないのに「オーディション合格」の連絡が来た
受けていないオーディションには合格しない。それは合格通知の形をした広告だ。返信せず、無視でいい。
「顔合わせだけでも」と誘われた
顔合わせは無料で、契約書は持ち帰れて、親が同席できる。この3条件が揃わないなら、行かなくていい。
もう費用を払ってしまった。取り戻せる?
契約の種類によってはクーリング・オフが使える場合がある。消費者ホットライン「188」に、今日のうちに電話してほしい。時間との勝負だ。

子どもをこの業界に入れるかどうかに、家庭共通の正解はない。ただ、どの家庭にも共通のルールがひとつだけある。財布と契約書は親が持つ。現場には親がいる。それを嫌がる大人が現れたら――その大人が、答えだ。
